参考資料

「ゾンビランドサガ リベンジ」メイキング

「ゾンビランドサガ リベンジ」のメイキング記事が公開されています。

https://cgworld.jp/feature/202107-cgw275-zlsr.html

<1>多彩な衣装を適確につくり込む ~キャラクターモデル~

毎話、新しい衣装が登場

メインのDCCツールは、1期と同じく3ds MaxとPencil+ 4を使用。新規衣装の作成では、まず衣装の設定が上がって来たらラフモデルの作成を開始。通常は、フランシュシュメンバーの中で最も標準的なプロポーションである主人公の源 さくらの体型に合わせてモデリングが行われる。

1期で作成されたモデルに対して、新たな衣装が登場する度に衣装部分を作り替えている。

 

7話限定で登場「楪 舞々」

ラメ素材の部分は、CGでも質感を付けた上で撮影で発光エフェクトが加えられた。なお、マスク素材はアトリビュートで切り替えてレンダリングを行なっている。

 

<2>『佐賀事変』MVの経験を活かす~キャラクターリグ&モーションキャプチャ~

作業効率と表現力を高めたリグの改良

2期では、萌によって様々なリグの改良が施されている。1期のリグでは、肩や腕のねじりに対する形状破綻やフリップが頻発していたため、ねじり方向への対策を補助ボーンを作成することなどで解消。揺れものは、SpringMagicを使用しつつ、スカートが足にめり込まないように自作スクリプトで制御したり、スカートのフリルの破綻を防いだりと、細かな調整が施された。

髪の毛のIK/FK切り替え。1期ではIKメインの構造になっていたが、細かい動きに対応できるようアニメーターがIK/FKを切り替えられるようにされた。

1期のリグでは手首や肩の関節の破綻が大きく、アニメーションの際フレーム単位で調整を入れる必要があったそうだが、2期では破綻しないように組み直されたオフセットで細かな調整も可能である。

スカートやフリルの挙動が脚の動きに合わせて自動で動くようにスクリプトコントローラでプログラムを組み込んでいるこれにより、めり込み修正の手間を減らし、脚の可動範囲に沿った破綻のない自然な動きに仕上げられるという。

 

収録エリアを拡張し、8人同時収録を実現

Studio TantaのStudio-Cにおけるモーションキャプチャ収録の様子。2期向けに機材の配置を改良することで8人同時収録を実現した。

 

キャプチャデータのブラッシュアップ

マーカー認識の修正例。

MB上のパラメータで体格差の補正を行いキャラクターに割り当てた状態。重心の位置やタッチしている手、ポーズ全体のシルエットが演者に近づけられたことがわかる。

 

ノイズとの戦いとなった楽器演奏のキャプチャ

4話で山田たえが披露するドラムパフォーマンスのキャプチャデータの修正例。

MB上のパラメータで体格差の補正を行いキャラクターに割り当てた状態。座っている位置や足の位置、ポーズ全体のシルエットが演者に近づけられた。

 

<3>プライマリ工程に重点を置いたワークフロー~アニメーション~

『ゾンビランドサガ リベンジ』 アニメーションワークフロー

レイアウトでは、カメラワークやラフモーション(指先を含むシルエット)が作られる。

プライマリと呼ばれる工程。ここでは、モーションのタメツメの調整、フェイシャル・揺れものの動きの作成が行われ、ライティングやラインの調整も行われる。この工程で、完成70%のクオリティを目標にするため、全体のほとんどの工数を使用しているという。

最後に、セカンダリと呼ばれる工程。ここでは、モーションブラッシュアップ、めり込み修正が行われ、ライト演出や最終ルック調整や素材出しといった、撮影に渡すまでの工程が行われる。

 

バーチャルカメラも利用~CG打ち~

監督のイメージを具体的に共有するためにCG打ちでは、iOSアプリ「VirtuCamera」も利用されている。本アプリのBlenderアドオン(オープンソース)を利用してライブ会場の背景セットのバーチャルロケハンを行なっているとのこと。

 

作業内容を明確にする

レイアウト作業の例。アニメーターは、MOCAPデータを流し込んだ状態で、絵コンテに沿ってカメラワークを付けていく。併せてポーズ修正もラフに行う。

カットのプライマリアニメーション作業。動きのタメツメ、フェイシャル、おおまかな揺れもの、ライト位置の調整を行う。最初はポリゴン編集や補助コントローラでの修正を行わず、モーフによるラフな表情付け(目パチ・口パク含む)と、動きのタイミングが決まった50~60%程度の状態で社内チェックに回す。

セカンダリ作業。最終ルックの調整と、カットのブラッシュアップ、落ち影、マスク等の素材出しを行う。3DBGの場合は、背景のレンダリングと、ライト素材の書き出しも行う。

イティングは仮で、撮影工程で最終的なライト演出が行われる。ライトは各キャラクターごとに用意されており、カット単位で調整。影付けが少な目の作品のため、固定影のみにすることも多い。

図は、さくらの作画に関する注意事項をまとめた資料。CGキャラクターもこれに基づいた画づくりが施されている。

 

フェイシャルへのこだわり

フェイシャルは、各ストーリーの展開をふまえた上でのキャラクターの心情が表現できているかを意識している。

キャラクターデザイナーの深川氏が描いたアタリを基にモーフターゲットが作成された。

 

進化したライブ演出

観客のモブは1期よりも大人数になると同時に、より複雑な表現に仕上げられている。

モブ用モデル。寄り用と引き用の2種類を作成。

モブの配置とアニメーションは、ポイントキャッシュをランダムに大量配置するスクリプトとtyFlowを併用して作成している。

1期はサイリウムの色をマテリアルIDで切り替えていたが、2期は色をランダムに割り当てるプラグイン「BerconMaps」を使用。曲ごとに使用する色の割合は変更されている。

 

<4>ビジュアルによって世界観を高める~撮影&2Dワークス~

深川可純氏によるルックの改良案

2期の撮影では、よりシネマルックにこだわった画づくりが実践されている。制作に先立ち、キャラクターデザインの深川氏から2期の画面設計についての提案を図示した資料が提示された。具体的には、各シーンやカットごとに空気感(明暗やキーカラーなど)を強調したり、映画的な情感を高めた画づくりをしてほしいというものであった。

 

撮影ボードの作成

2期から「撮影ボード」が作成されている。これは美術ボードにシーンカラーのキャラを合成しフィルタ調整を施したものであり、これを参考に撮影が行われる。

 

撮影によるエフェクト表現

4話の『目覚めRETURNER(Electric Returner Type "R")』歌唱シーンのフランシュシュメンバーたちの動きに合わせた発光エフェクトは撮影で処理が加えられた。

FXmasterというテンプレート素材を使用

エフェクトとCGキャラを合成した状態。スクリプトAfter3dsmaxを使い、腰の位置情報を出力し、エフェクト素材を追従させている

 

世界観を高める~2Dワークス~

衣装向け2Dワークスの例。

 

TV番組のテロップは、本作特有の2Dワークスと言える。テロップのデザインでは、ローカルと全国ネットのちがいを意識している。

 

手書き文字も2Dワークスによるもの。キャラクターごとに手書き文字の担当者をスタッフの中から決めている。

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