参考資料

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』メイキング記事

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』メイキング記事が公開されています。

https://cgworld.jp/feature/202108-revuestarlight1.html
https://cgworld.jp/feature/202108-revuestarlight2.html

3D舞台照明・野菜キリン篇

TVシリーズの演出を踏襲した、愛城華恋と神楽ひかりの3D舞台照明

本作はTVシリーズ制作時から画の正しさよりも演出を優先していた。そのため3D舞台照明では、ライトの大きさ・角度・タイミングや、床などのアセットに様々なデフォルメを加えている。

劇場版の華恋の名乗りシーンでは、手前のライトほどベース部分を大きく、光芒の照射範囲を広くすることで立体感を強調している。

劇場版のひかりの名乗りシーンでは、カメラアングルは水平で、画角は広角。床面の板ポリゴンを手前にくるほど下方へ湾曲させることで、手前の光芒の照射範囲を歪ませ、画のパースを強調している。

 

"異質感" が期待された野菜キリンのカット

古川監督は、CGに "異質感をもたらす" 役割も期待していた。劇場版にのみ登場するフォトリアルな野菜キリンはその好例で、ジュゼッペ・アルチンボルド(16世紀の画家)による作品群を参考に、30品目以上の野菜によってキリンの形を構成している。

各野菜の形状を1点ずつ調整し、UVを開き、Substance Painterで質感を付けた後、デザイン画を参考にしながらキリンの形になるよう野菜を配置している。

 

双葉と香子のデコトラ・舞台列車・真矢の鳥・華恋の列車篇

絵コンテに先行してデコトラの試作モデルを作成

試作モデルを元に "車体にレヴュー曲の歌詞を貼り込み、その歌詞を歌うタイミングで車体を映す" などの演出アイデアが出され、絵コンテを起こすという通常とは逆のながれでシーンが構成されていった。

最初につくられたデコトラの試作モデル。

 

どちらも先の試作モデルをベースにしつつ、ケレン味やシルエットの見映えを重視し、シートキャリア(運転席の上にある箱型の部品)やバンパーを現実よりも大きくしている。

 

完成モデル。アルミ・クローム系のギラギラした反射を設定し、Arnoldでレンダリングしている。美術の色を拾って反射マップをつくり、余計なハイライトが入らないよう光源管理を行なった。

 

レヴュー曲に合わせて電飾が点灯する、双葉と香子のデコトラ

点灯する電飾のアニメーションはAfter Effects(以下、AE)で付けられた。香子のデコトラのマーカー総数は1,488、アンドンは20個以上あり、AEのコロラマなどで階調をオフセットしたり、ループさせたりすることで、電飾が順番に点滅するサイクルをつくっている。

劇場版はシネスコサイズとなっており、それを活かしたデコトラ3台を並べた構図は早期にイメージが決まっていたため、カメラテストでも見映えが入念にチェックされた。

 

車体がぺしゃんこに潰れ、レヴューの舞台へと変形する舞台列車

舞台列車、真矢の鳥、華恋の列車などのアセットにも、CGならではの情報量が求められた。

背景のトンネルもCGで作成しており、色は美術ボードから拾っている。そのトンネルから舞台列車用の反射マップを作成し、リアルな反射を表現した。各モデルのマテリアルはSubstance Painterで塗ってあり、場面ごとのライティングに応じて色や印象が変化するようになっています。

 

真矢&クロディーヌのレヴューに "異質感" を添えた、真矢の鳥

 

ワイルドをキーワードに盛り付けた、華恋の列車

試作モデルでは、作中劇に出てくる塔が先端に取り付けられている。

完成モデル。正面から映したときにT型のバミリ(ポジションゼロ)や「アタシ再生産」の看板が視認しづらくなるという理由で塔はボツとなり、マッドな印象を強調するスピーカーが取り付けられた。

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