参考資料

映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」メイキング

映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」のメイキング記事が公開されています。

https://cgworld.jp/feature/202106-sidonia.html

TVシリーズの雰囲気は残したまま最新表現にブラッシュアップ

TVアニメ第1期から実に7年を経ての劇場公開であり、データの再使用による生産ではなく、今まで以上に魅力的に、かつ劇場作品としてグレードアップするというコンセプトで制作が始まった。

第1期当時の制作環境はMaya 2013で、Mental Ray用内製シェーダ「PPI Shader」は第1世代のもの。今回はMaya 2015、PPI Shaderは開発が重ねられており、バージョンは200か300くらいだと思います。より多様なアニメ表現に対応できるよう機能追加や改善がくり返され、レンダリング速度も高速化しています。

 

コンテ演出ノート

安易な平面的なレイアウト、真正面からの撮影を廃止し、パース感のある、余白をできるだけ減らした画面で構成するという演出方針が貫かれている。

 

<1>質感構築 Look Development

アセットへの仕込み

TVシリーズ時点でのアセット仕様と異なり、様々な要素・機能をできるだけ組み込んでしまうという方針でアセットが構築されている。

目を閉じているため瞼と眉毛の間のメッシュが伸びている状態だが、眼窩の影色が伸びないようリグとテクスチャとを複雑にコネクションしている。

 

2号影

シェーダの更新により日陰部のさらに奥には2号影が描かれるようになっている。

逆光下の頭部。脇や、鼻・顎・目と眉毛の間の影が確認できる。2号影自体は描き影となっている。鼻影などは、1号影と2号影の面積が近づくような光源角度だと2号影も1号影と同じ影色になり、違和感が生じないようになっている。

 

衛人(もりと)

あまりセル調アニメ的な表現に寄らないようオクルージョンを焼き込み、TVシリーズとは異なる質感に仕上げられている。

頭部の発光による胴体側の照り返しも焼き込みとなっている。

 

ガウナ

ガウナは有機的な造形もあって、いくらでもディテールを深追いできてしまう。他のアセットや作品全体とのバランスをみつつ、有機的な異物感を損ねずに情報量を抑える方向で造形・質感設定されている。

入り組んだ箇所や日陰部での赤みの発色は慎重に調整された。影色はノーマル色を乗算してつくっているため、逆光では全体に赤みが深くなる。

 

<2>人物制作 Character Modeling

谷風長道

TVシリーズモデルでのレンダリング結果

本作用のモデル。作中時間の経過に伴い容貌が精悍になっているほか、現在のトレンドに合わせたバランス調整が施されている。

 

科戸瀬イザナ

TVシリーズモデルでのレンダリング結果

本作モデルのMayaでのプレビュー

チェック用QT表示。前作のモデルをリグ調整したもので、造形的には大きな編集が加わったわけではないが、シェーダの更新によってより適正な陰影が出るようになっている。

 

融合個体かなた

融合個体「かなた」覚醒前の実験体段階の設定。本制作に入る前にラフに3Dモデルを作成しつつデザインを検討、さらに2D的にも詰め作業を加えてデザインを確定する。

 

<3>機械制作 Mecha Modeling

一九式衛人・二零式衛人劫衛

カラー、ラインをレンダリングした状態。コンセプトアートと同程度の疎密感でラインが描画されるようディテールを調整している。

二零式衛人・却衛のグレーモデル

 

二零式衛人劫衛・コックピット

水城・衛人発進機構

射出機構の動作のながれ(衛人は表示していない状態)。格納殻に吊り下げられている衛人を受け取りレールに固定、射出する向きに回転させつつ艦体側面へ移動、射出台座へ固定する。

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