参考資料

「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」メイキング記事

「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」のメイキング記事が公開されています。
https://cgworld.jp/feature/202003-cgw259hsseiya.html

制作カロリーを抑えるためのプリプロ&プロダクション

プリプロで最も時間をかけたのはキャラクター造形。「本作は劇場版とちがい、様々な制約がある中でキャラクターの造形をしなければならず少し大変でした。シリーズもので3Dルックのキャラクターを使ったフル3DCG作品を作成するには、作業のカロリー調整が非常に難しい。特に、髪の毛の造形は制作カロリーを上げてしまうため、髪の毛のボリュームを抑え、硬い質感の短髪にしました」

そのほか、原作のイメージをなるべく崩さず、かつ北米のマーケットでも通用するデザインが求められたため、かなりの時間をかけて調整。紆余曲折の末に最終的な造形に落ち着いた。「原作では主人公・星矢は13歳という設定ですが、北米では年齢に対する感覚がちがうこともあり、年齢を少し上げた雰囲気にしています。また、目が大きいためバランスがとりづらく、少しリアル系でもあるので、鼻の穴を付けたり鼻筋の表現だったりと、3D調でありながら原作の雰囲気をどこまで再現するか、非常に時間がかかりました」と話す。

本作の特徴でもあるプレスコされた英語のセリフに合わせてリップシンクを作成するという手法も、同社にとって初の試みであった。「英語圏ではリップシンクに非常にシビアで、日本語のリップシンクにアフレコで英語をあててしまうと違和感が出てしまうんです」。そこで、プレスコした音声に合わせて自動的にキャラクターのリップがアニメーションされるツール「Xシート」を開発。

しかし、英語は日本語に比べてリップの動きのパターンが多く、そのままでは早口になってしまったり表情が大きくなってしまったため、アニメーターが随時手を入れて修正することで対応した。

発音記号に対する口の形状パターン表「mouthChart」

プレスコのセリフから作成した口パク指示シート「Xシート」の一部

「mouthChart」と「Xシート」、そして編集時のEDLから口パクを設定するツールのUI

 

『聖闘士星矢らしさ』を追求したアセット

キャラクターモデリング

キャラクターアセットのモデリングはキャラクター設定画からスタート。設定画には質感の設定がないため、モデルを作成しつつ質感を決め込んでいった。まずは主人公である星矢のプロポーションから詰めたのだが試行錯誤が続き、質感についても最終的なルックにたどり着くまで何度も試作がくり返された。

セットアップとリグ

本作に登場するモデル数は合計で78体と非常に多いため、セットアップやリグの効率化が制作のポイントとなった。セットアップではプライマリレベルのスキニングにおいて、各キャラクター共通のスキニング用ケージをこれまで使用していたケージからさらに汎用性を高めたリグに改良。肉感が似ているキャラクターであれば2日ほどでスキニングできるようになった。

「ケージ」と呼ばれるスキニングを効率的に行うためのメッシュ。ケージのエッジループの位置にジョイントが配置されるように調整されている。エッジループとジョイントが重なっている部分の頂点がメインの骨と重なっていれば水色に、補助骨と重なっていればオレンジ色に塗り分けるようになっている。

他キャラクターにケージを流用する際、塗り分けを参考にケージの調整をすることができたため、これまで以上に作業がしやすく精度の向上と工数削減につながった

筋肉が強調される造形が多いため「首の筋肉周りの表現」や指を曲げた際の「指の腹の膨らみ」などがきちんと表現できるリグになるよう、これまでとは一段上のレベルでリグの設計が実現されている。

従来通りの補助骨の仕込みでは指の付け根あたりが不自然に尖ってしまう。本作ではよく使用する手のポーズなので、きちんと表現するために専用のリグを追加することで改善した。

背景

背景アセットも非常に物量が多かった。「Substance Painterで作成した汎用シェーダをなるべく流用しつつ量産していきました。また、AJamと呼ばれる背景のローモデルとハイモデルを簡単に切り替えられるツールを開発し、アニメーション作業の負荷を軽減しています」

AjamのUI

ルックデベロップメント

同社ではルックデヴは基本的に「セットライティング」を指し、背景アセットに対してアートチームから上がってきたライティングボードに基づいてライティングを施していくのだそう。また、単にライティングを施すだけではなく、レンダリング時の安定性の確認やシェーダのデバッグなども行われる。

 

80年代のテイストを感じさせる絶妙なさじ加減

アニメーション

アニメーションについては、北米の視聴者をメインターゲットとした作品であるため、日本国内向けの作品とは少々趣がちがう。「海外をターゲットとしているとはいえ、北米的なフルモーションの中に日本アニメのテイストが感じられる動きを付けています」車田氏の「原作の雰囲気を重視したい」という希望もあり、80年代に放送されていたアニメ『聖闘士星矢』の映像を確認しつつ、「聖闘士星矢的な動きとはどのようなものか」を研究し現代風にアレンジした。「特に、コミックに描かれているポージングに注目し、中割りよりもポーズのシルエットを重視しています」

エフェクト

エフェクトを付ける工程では、GPUキャッシュおよびArnoldスタンドインを活用してレンダリング効率が高められた

コンポジット

コンポジットには基本的にNUKEを使用。コンポジット側でライトを追加したり、背景の空はNUKE内に天球オブジェクトを配置し、空の背景素材をマッピングしてコンポジットするなど、少人数でなおかつ制作スケジュールが厳しい状況で効率良くカットを仕上げるなど、その工夫は盤石である。

80年代に放送されたアニメ作品のオマージュとして撮影風の透過光に近づけた。光源感としてセルの裏に点光源を感じられるよう、ややグラデーションを強調。にじみとセルの奥のライトを意識した仕上がりになっている。

 

 

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