参考資料

Unreal Engine 4を使用した「ガールズ&パンツァー 最終章」メイキング

Unreal Engine 4を使用した「ガールズ&パンツァー 最終章」メイキング記事が公開されてます。UEの採用は背景のレンダリング時間を削減するためのようです。
https://cgworld.jp/feature/201911-255-ue4gp.html

OVA『ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!』(2014)では森林などの自然物の表現でレンダリング時間をかなり取られてしまった経験から、今回のジャングル戦に関しては今まで以上の苦労が予想できました。その課題解決のためにUE4の表現とワークフローに注目しました。
調査と検証を含め3ヶ月ほどをかけ、その後に本開発に入って1年間ほどバグ修正を行いつつ本番のカット制作へと入っていった。

ジャングル表現にはUE4 マーケットプレイスで購入したアセットも使用して工期を圧縮。戦車は3ds Maxでレンダリング。既存のモデルや表現開発の資産を活かしつつ、ジャングル背景の部分だけリアルタイム表現に委ねるというハイブリッドな制作手法で挑んでいる。

Unreal Engine 4篇:ジャングルの草木のインタラクションをエンジン上で表現

全体的なワークフローとして3ds Maxによる地面の設計と戦車のアニメーションをアニメーターが担当。戦車とキャラクター、砲弾といった主に背景以外の要素を従来どおりに通常の3ds Max上でレンダリングにかける。

そこからジャングルの背景部分のみをカスタムツール「MAXtoUE4」にてUE4にエクスポートする。この際に戦車とカメラデータはFBXデータを使用。キャラクターや揺れものに関してはAlembicにコンバートしてジオメトリキャッシュとしてエクスポートし、ジャングルの樹木の配置や挙動、履帯処理の設定を施してシーンデータを作成する。最終的には各マスクやイメージをレイヤーごとに出力して、戦車と背景を合成している。

アニメーション作業は3ds Max上で完結させる。戦車の挙動やキャラクターに関しても芝居はこの工程で付ける。

これらの3ds Maxでのアニメーションデータを前 述のカスタムツール「MAXtoUE4」にてエクスポートする。この「MAXtoUE4」は、FBXとAlembicデータの自動切り分けだけでなく、正確なカメラデータの受け渡し、ゲームエンジン特有のスケール・座標系の変換まで開発でサポートしている。

このデータを「AIS」でUE4上に読み込んでジャングルの植林作業と調整を施し、UE4上でリアルタイムにレンダリングされた映像を出力。この際にBlueprintで設定した各レンダーエレメントの素材を自動でふり分けていく。最終的にはアニメーター側で仮のコンポジットまで行なって撮影セクションに渡す。

キャタピラの跡や押し倒される草の表現

UE4のフォリッジ機能を使用してジャングルの樹木を配置。フォリッジ機能のペイントブラシで地面をなぞると任意のアセットがランダムに自動で配置されていく。

草木と地面に関しては戦車の履帯で踏み潰された跡が残るようにインタラクティブ処理を仕込んでいる。押しつぶされる地面の草はBlueprintでオブジェクトを処理。

草木や落ち葉のアセット一覧

落ち葉が8個、石が3個、背の低い草木17個(内8個がフィジックス対応で稼働する骨入り)、樹木が16個、枯れ木18個(樹木と枯れ木はこのうち17本が骨入り)と数多くのアセットを用意している。

Blueprintによるカスタム機能

草原の履帯部分の処理を含め、3ds MaxからUE4へのインポート、およびシーケンサーへの自動配置はAISプラグインによって行われた。UE4から各種素材のアウトプットに関してはカスタムのBlueprintノードを開発。データのコンバートに関してカメラデータも完全に一致する状態で転送することが必須だったのだが、3ds MAXからのFBXではFocalLength値を持っていけなかったため、FieldOfViewパラメータに変換したFocalLength値をFBXにベイクして読み込ませている。

戦車やキャラクターの動きをUE4 に読み込む

戦車の可動パーツごとに全てをオブジェクト化して「ひとつのオブジェクトにひとつのNull」をセットアップし再構築した。3ds Maxでアニメーションを付けたそのNullの動きをベイクし、そのまままったく同じ構造にセットアップしたUE4の戦車アセットにFBXで各Nullの座標のモーションデータのみながし込む、という方法で解決している。

戦車上のキャラクターについてはAlembicで出力。

UE4で書き出すレンダーエレメント

UE4からの背景レンダリングの結果はAfter Effectsで合成するが、Blueprintを使用して出力データ設定のカスタマイズを行なっている。各種イメージデータのほかには、戦車を切り抜くマスク、被写界深度、スペキュラ、陰影、戦車の煙のマスク、オブジェクトIDと、現状のコンポジットワークフローの延長線上での素材出力が設計思想のベースになっている。

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